鳳来寺硯2 鳳鳴堂

愛知県新城市鳳来寺参道にある「鳳鳴堂」さんです。
山紫水明という言葉がぴったりな風光明媚な場所にあります。

当主の名倉鳳山さんは、五代目の硯作家さん。
伝統と格式のあるお家柄ですが、日本伝統工芸会(伝統工芸の世界だと日本で最も格式がある会です。何回か伝統工芸展で入選しないと会員にもなれません。)の東海支部長にもなられています。

鳳鳴堂さんには、よだれが出そうな硯が沢山並んでいます。あと、私にはよだれの出そうな硯の本も沢山。
経験豊富な作家さんだけに、作られる硯がことごとく美しいです。
日本らしい造形に拘って作硯をされています。

私がチューニングさせていただいた硯だと、名倉鳳山さんの特長の一部分しか紹介できないのですが(高級硯は扱った事がないので)、こんな小さな石でも美しく作硯されます。(鳳鳴石)

こちらも似た作りですが、石を名倉鳳山さんにお渡しして改刻いただいた硯です。(蒼龍石)

こちらも、板硯に分類されるものですが、単に石が切ってあるという世界とは異なる周辺部に漆を塗って、全体に丸みをつけて、優しい感じの板硯に仕上げる。見どころの石皮(側面の黄色い部分)を上手く活かす作硯をされています。(金鳳石)

機能だけ、見た目だけを追求している訳ではなく、見た目も美しく、それでいて、耐久性も考慮して、硯としての機能美を魅せる、そんな作硯をされておられます。

美を前提に硯を作る、そんな感じでしょうか。

最後に、四代目の名倉鳳山さんが書かれた「日本の硯」。日本の硯本の中で、最も信頼度の高い本だと思っています。参考にさせていただいている数冊の本の1冊です。過去の日本の硯産地の状況を正確かつ緻密に記述されています。