雄勝硯3 エンドーすずり館

宮城県石巻市雄勝町にある「エンドーすずり館」さんです。

東北沿岸部だとこの話は外してはいけないです。(理解が出来なくなります)
雄勝町は宮城県の沿岸部にあり、南三陸町(津波が来るまで避難放送をしていた町。写真3。南三陸町防災対策庁舎)の南側に位置します。
当然ながら、壊滅的な被害をうけています。写真は雄勝町の街の中心部です。既に何もありません。(写真2)

3.11から11年。
もう何もない町で硯を作りづ続けておられる方がいます。

雄勝硯工の遠藤弘行さんです。
震災の話をしても、「うちの店、津波が来る毎に、山を登ってきたんだよ。2回も。ガハハ。」って笑い飛ばす漢気のある方です。
それもそのはず、弘行さんのお父さん遠藤盛行さんからしても凄い。

右の写真は雄勝町波板地区の波板石です。遠藤盛行さんは、雄勝の中で、波板石を一番評価されてました。
が、波板石は非常に硬い石。硯にするのが大変です。
元々、雄勝町の硯は分業制で、売る人、作る人と別れていました。
1枚作っていくら、であれば、作りやすい石、やわからい石でつくる方が沢山作れてお金になります。
なので、一番よい石を誰も硯にしない。

そこに危機感を覚えた遠藤盛行さんは、だったら自分が硯工になろうと考えて、採石業者から硯工に転職されて、波板石で美しい硯を作られていました。

その盛行さんの意志を継いだ方。
雄勝波板石一本で硯を作られています。
御留石とかつかわないんですか?と質問した事もありますが、波板石以外使う気がないとの返事でした。

硯への愛情と情熱の伝わってくる方で、話をしていて全く飽きません。
2度お伺いしましたが、1度目は1時間程度の予定が気が付いたら4時間半たっていました。

その際は、雄勝硯の組合の方、自治体の方とご一緒したのですが、その4時間半、待ってつきあっていただいた方々(4名!)に感謝しています。
自治体の方にも、話をよく聞く熱い方がおられるんだなぁ、と思ったのは、遠い2年前の記憶です。

話を戻すと、この環境で11年も硬い石を使って硯を作り続ける、1本どころか100本ぐらい筋の通った職工さんです。
いつも話し終わると、さわやかな気分になります。