硯の誤解2 硯の相性

墨と硯と磨り手の出会い、とか聞きます。
また、この硯との相性は?とよく聞かれます。
硯を買われた方のほとんどに聞かれるぐらい多いです。

結構信じている人は多いですね。

相性はありますか?
と聞かれて

以前は、ありません、と答えていました。
が、怪訝そうな顔をされます。(笑)

そりゃ、そうです。
自分が墨を磨ってみて、あわないと思った時があるんでしょう。
なので、このテーマはよく考えます。

では、墨と硯の相性なるものは存在するのか?
といえば、ない事はないです。

それは、
唐墨を和硯で磨った場合。
磨れる、磨れない以前に、硯が削れます。
唐墨と和墨の作り方の違いが原因です。
簡単にいえば、和墨は和硯にあわせて作られている。逆に和墨にあう硯の石が選ばれてきました。

江戸以前は唐墨なんて買えなかっただろうと思います。
高貴な方は例外として日本では唐墨なんて使っていない。
なので、和墨にあわせて硯石が選ばれる。
そうなりますわねぇ。

で、逆も真なり、なんです。
和墨に唐硯はあわないです。
というと、多分、ほとんどの人は、へっ!?ってなるかもしれませんね。
石の特性の違いなんですが、まぁここをあまり言うと反発される方も多いので、ここでは詳しく触れないでおきます。申し訳ないです。

本題の硯にある相性とは何か?

目的、用途の向きの程度。
書体毎の仮名との相性。
書体毎の漢字との相性。
水墨画との相性。
使い手の好み。

です。

それを、例えれば。
筆だと仮名用筆、漢字用筆、名前書き用筆、水墨画筆、色々自分で使い分けていませんか?
更に初心者用、上級者用。
墨も紙も色々ありますが、漢字用、仮名用。初心者用、上級者用。漢字だと楷書、行書、草書、大字書。それぞれわけていませんか?

硯も同じ事です。
なになに用途硯がある、って事です。


では、何故、誤解されているのか?
硯は何々用と説明されていないので、わからない。
墨は何で作られているか説明されていないので、わからない。
(誤解してほしくないのは、菜種の煤と言っても10以上、膠なんて作る人事に違うぐらい沢山種類がある、って意味です。)

なので、使い手からみて、わからない、って事です。

相性があるのではなく、用途の向き不向きがあり、情報が不足している。
という事です。

どうするのか?
というと難しいのですが、
徐々に情報発信していければいいなぁ、と思っています。
(ぼんやりしていて、すみません。)