雨畑硯3 雨端硯本舗

山梨県富士川町鰍沢にある雨端硯本舗(あめはたすずりほんぽ)さんです。
お店もお店の中も雰囲気のある門構えです。

それもそのはず。
当代の雨宮弥太郎さんは、雨端硯本舗の13代目硯作家さん。
既に創業から200年以上!の伝統と格式のあるお店さんです。

その伝統の中では、11代硯匠雨宮静軒さんが最も有名な方です。
一言で言えば、硯界のスーパースターですかね。高級硯は持っていないので、その特長となる硯写真を掲載出来ないのですが、そのノミ捌き、造形は素晴らしいの一言です。

人となりからして凄い。パトロンが犬養毅(墨堂)、師匠が竹内栖鳳、一時、北村西望からも学んでいます。竹内栖鳳の逸話に、津波を見たく台風の時に海を見に行った話があるのですが、その時に同行(同じ防寒具です巻きになった)したのが雨宮静軒さんだった様です。竹内栖鳳の息子さん(人足役の5人の1人)が地獄だった・・という回顧をしています。
竹内栖鳳が絵から匂いを感じると言われた人。静軒さんも実物を見ることを重視されていた様です。鶴の造形を作るために、熊本まで観察をしにいった逸話が残っています。その、波と鶴は静軒さんの硯の大きなテーマの2つです。
(波の硯は持っていた様な・・、見つけたら掲載します)
(蟹は12代弥兵衛さんです。)

当代の13代雨宮弥太郎さん。
硯を「心の器」と表現されます。

雨端硯本舗サイトから抜粋すると「日常的な時間を切り離し、精神統一を図りながら紙に向かう「書」という特別の時間の中で、硯は静謐の空気の中、無我の境地に入り込む舞台装置と捉えている。その舞台装置が純粋であればあるほど、書家の心はより高みに昇華し、よりよい「書」が生まれる。そのための硯であると。そう信じている。」

葛飾北斎の富嶽三十六景「鰍沢」の舞台になった伝統のある町、鰍沢。
そこで伝統に根差した革新的な硯を作られています。
日本伝統工芸展とかで作硯された硯を拝見すると、抽象化した柔らかい線の優しい印象のする硯を作られています。